スイッチングトランスを設計する時に、鉄心として使用していますフェライト
コアの扱い方に注意が必要です。
安全規格によって入力側である1次側と出力側である2次側との絶縁距離が
規定されているからです。
コア(鉄心)の扱い方には下記の3パターンがあります。
安全規格上、1次-2次間の絶縁距離が6mm必要な時を例にとって説明します。
<1>コアが1次扱いでも2次扱いでもない場合(コア(鉄心)が浮いている場合)
1次とコアの最短距離をXmm,2次とコアの最短距離をYmmとした時、XとYの
和が6mm以上必要となります。
図1のようなオーソドックスなボビンを使用しています。
<2>コアが1次扱いの場合
コアは1次扱いなので、2次とコア間は6mm以上の距離が必要になります。
ですので図2のような2次側に長く伸ばしたボビンを使用する必要がございます。
<3> 2次扱いの場合
コアは2次扱いなので、1次とコア間は6mm以上の距離が必要になります。
ですので図3のような1次側に長く伸ばしたボビンを使用する必要がございます。
ここでいう1次と2次はトランス単体だけでなく、実装される回路部品に対して
も適用されるので、電源設計者(特にパターン設計)も注意が必要です。
今まで気にされたことが無かった方は、コアとトランス周辺の
部品間の距離をご確認されてみてはいかがでしょうか。
もしかすると絶縁距離不足の見落としがあるかもしれません。
弊社では、通常<1>で設計します。
ただし、<1>で設計すると容量のわりに形状が大きくなることがありますので、
三層絶縁電線を使い<2>や<3>で設計すると形状を小さくすることが可能です。
三層絶縁電線を使用した専用ボビンのトランスはこちらです。
https://www.kamidenshi.co.jp/products/185/
今後、これらの専用ボビンのラインナップを増やしていく予定です。
小型化を考えておられる方は、カタログになくても是非一度お問い合わせください。
もちろんカスタム形状も対応可能です。