オンとオフ、メリハリつけてリフレッシュ!
今号は前号のリニア方式に引き続きスイッチング方式の電源のお話です。
まずそれぞれの特徴です。
一般家庭用電源の電圧100Vの許容範囲は 101±6V 以内(95V~107V)となっています。
これが変動した場合、トランスの巻き数比で変圧しているリニア方式は
入力AC95V(5%↓)の時は出力DC22.8V(5%↓)、入力AC105V(5%↑)の時は
出力DC25.2V(5%↑)となり、入力電圧に比例して、出力電圧DC24Vが変動してしまいます。
一方スイッチング方式ではFETや制御ICで出力電圧を監視・調整しており入力電圧に関係なく出力電圧が一定となり、入力AC100Vの時はDC24V、入力AC95Vでも105Vでも出力はDC24Vと安定しています。
また、以下の過去ログでも違いを簡単に説明しておりますのでご覧ください。
今さら聞けないスイッチング電源の基本Vol.8 | 過去メルマガ一覧 |
リニア方式でも出力電圧を一定にするためのレギュレータを組み込めば、
出力電圧を一定にすることは可能です。
しかし、前号で触れましたとおり、熱の問題、効率の問題、重量の問題があります。
熱によるロスの改善、高効率化、安定化や小型軽量化を解決するのがスイッチング方式の電源です。
ちなみにアメリカへ電気製品を輸出する場合、特に外部電源(ACアダプタ)は
エネルギー規制 レベルⅥ*を満足しないと輸出できませんので、
スイッチング方式電源でないとクリアできないのです。
日経XTECH 記事抜粋https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20150721/428601/?P=4
スイッチング方式(下図)は入力電圧(100V)をダイオードブリッジで整流し、平滑コンデンサで直流に変換したものをFET(スイッチング素子)でON/OFFを繰り返す事で高周波(数10kHz)交流電圧(パルス波)にし、トランスの入力電圧としています。そしてAC24Vに降圧し、ダイオードで整流した後、コンデンサで平滑にし、電圧を安定させます。
昨今は窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)を使用した半導体や電子部品が量産されるようになり、周波数も数10kHzからMHz帯まで高周波化が可能になり、さらに電源が小型化されています。スマホの電源やノートパソコンの電源がどんどん小さくなったのもこのGaNやSiC半導体が量産化されたためです。
弊社でも今後さらなる小型化、軽量化に取り組んで参ります。
カスタム電源は初期費用や開発時間がかかるからとついつい避けてしまいがちかと思いますが、
弊社では数W~100Wクラスで数百機種のACアダプタや電源の開発実績があります。
マイナーチェンジ(出力電圧の変更や基板のレイアウト変更)で済む場合もあり、
意外に安価でスピーディーに対応可能な場合もありますので、セミカスタムぐらいの感覚でできるものもあります。まずは弊社までお問い合わせください。