うっせぇわ(2)
続 ・ “うっせぇわ” です。
先月号ではACアダプタの放射ノイズ、伝導ノイズについて書きました。
通信が乱れるぐらいならまだしも、機器が誤動作したりすると危険を伴う場合があります。
電車の優先座席付近ではスマホや電子機器の使用を控えるようなステッカーが貼られていますよね。
見えない電磁波がペースメーカーを乱したりする可能性があるからです。
電磁波やノイズは見えないからと言ってほったらかしにしていてはいけません。
メーカーは危険が及ばないようにノイズ対策をしています。
今月号ではACアダプタの代表的なノイズの対策方法をご紹介させて頂きます。
その前に、アダプタの内部にあるノイズ対策関連部品をご紹介。
対策1.
基板にノイズ対策部品(フィルムコンデンサ、ラインフィルタ)を搭載し、ノイズを低減
ACアダプタの入力側に①フィルムコンデンサ(C)と②ACラインフィルタ(L)が並んでいます。
これは伝導ノイズの対策の為で、ノイズの大きさによってフィルムコンデンサの容量を大きくしたり、
ACラインフィルタのインダクタンスを大きくしたりします。
それでもノイズをクリア出来ない場合は、図1右のように2段構成にしたりします。
(図1 入力側回路構成)
対策2.
スナバ回路(回路中にあるスイッチを切ったときに過渡な高電圧を吸収する保護回路でノイズを低減)
スナバ?とは砂場ではなく、英語で(snubber)「急停止させるもの」という意味からきています。
⑥トランスの1次側巻線に③抵抗(R)、セラミックコンデンサ(C)、ダイオード(D)が並んでいます。
図2のように⑤FET(電界効果トランジスタ)(Q)がオフする瞬間にサージ電圧が発生します。
サージ電圧が大きい場合、伝導ノイズや放射ノイズが大きくなる場合があります。
そのため、サージ電圧を抑えるのに、セラミックコンデンサ(C)や抵抗(R)の定数を変更して調整します。
またダイオードに並列でセラミックコンデンサをつけたりします。
ただし、サージを抑え込みすぎるとスナバ回路の部品の発熱が増えるのでバランスが重要になってきます。
電子部品は熱くなりやすく、熱を抑えることも重要なんです。
(図2)
R=抵抗、C=コンデンサ、D=ダイオード、Q=FET
対策3.
トランスに金属シールド(薄い銅板)を取り付けてノイズを低減
金属シールドはトランスからの高周波ノイズを減衰させることができるため、伝導ノイズ、放射ノイズ
対策に効果的です。
対策4.
クランプフィルタ(フェライトコアでできた筒)をDC出力コードに取り付けてノイズを低減
DCコードに黒いお団子みたいなものが付いているACアダプタをよく見かけると思います。
それはクランプフィルタというものです。
ACアダプタの内部で発生したノイズがDCコードに伝わり、DCコードがアンテナとして空気中に放射さ
れます。この放射ノイズを抑制するために使用します。
非常に効果的ですが有ると無しでは価格に影響してきます。
上記以外にも基板のパターンの配線の仕方を工夫したり、トランスの巻き方を変えたり、
どのやり方が効果的であるかは、機種によっていろいろで、1つ1つ試して行く必要があります。
そんなノイズ対策が面倒だ、という場合、弊社ではトランス方式(ドロッパー式)ACアダプタ
もご紹介できます。
【今さら聞けない】絶滅危惧種のアダプタ!? (https://www.kamidenshi.co.jp/magazine/2138/)
を参照ください。
弊社のACアダプタは全てカスタム対応品です。
各ユーザー様のご要望(安全規格以上のノイズ対策、耐静電気、耐雷サージ、寿命、使用温度範囲等)を満足するACアダプタを提供させて頂きます。