うっせぇわ(1)
子どもが楽しく遊ぶ声が“うるさい”からと公園が閉鎖されるというような世知辛い世の中になっています。
いびきをかく夫、これは騒音(ノイズ)以外のなにものでもありません。
間違いなく、奥様からの“うっせぇわ”です。
人の声は聞こえますが電子機器の中の基板から発する音は普段の生活では、ほぼ聞こえません。
しかしそれが“ノイズ”となって他の機器に悪影響を及ぼす場合があります。
今回はACアダプタが発する“ノイズ”について簡単に説明します。
電子機器が発するノイズについては、安全規格で何デシベル(dBμV/)までに抑えなさい、
と決められています。それをクリアしないと製品として認めてもらえません。
ACアダプタのノイズには二種類あり、一つは放射ノイズ、もう一つは伝導ノイズです。
放射ノイズは感覚的にはWi-Fiや電波みたいなものです。その放射ノイズが空気中を伝搬して
他の機器が放射ノイズを受けると干渉して機器が誤動作を起こす事があります。
目に見えないから誤動作の原因が放射ノイズである事に気づきにくく、やっかいです。
伝導ノイズはACアダプタをコンセントに挿し込んだ際に、
そのコンセントを介してACアダプタから漏れ出すノイズのことです。
伝導ノイズは電線を通って他のコンセントにつながっている機器に侵入し、悪影響を与えます。
スイッチング式ACアダプタの内部では回路上で高速スイッチング動作しているため、ノイズが発生します。
「スイッチング?」ハテ?ですよね。
子供の頃に照明のスイッチを連続でカチャカチャON/OFFを押して叱られた経験はありませんか?
そのカチャカチャが速いと照明は消えたようで消えていない、ずっと点灯しているみたいな感覚になりませんでしたか?
それがなんとなく「スイッチング」のイメージです。
電子回路上でトランジスタ等の半導体が超高速にスイッチのON/OFF(点けたり消したり)を繰り返し、
出力側の電圧を変換することをスイッチングといいます。
例えば、スマホのUSB充電器(ACアダプタ)の場合ですと、コンセントからのAC100Vを
USB充電器の中の電源回路上でDC5Vに出力変換します。
そのスイッチング動作で発生したノイズが電磁波としてアダプタから空間へ放出されます。
ノイズを完全になくすことは出来ないため、安全規格で上限値(何dB)が定められています。
その規制値を満足できるようにエンジニアは試行錯誤しています。
次号で、これらのノイズ対策について説明させていただきます。