ACアダプタ主要部品 バリスタ編
今回はバリスタについてご紹介させていただきます。
バリスタは、通常時は回路動作に影響を及ぼすことはありませんが、
誘導雷や静電気により高電圧が発生した際、後続回路や部品を保護する役割があります。
形状は↑写真の円板形の他、リング形やチップ型(モールドタイプ・積層型他)など、
用途や基板スペース、電圧・電流に応じて使い分けられますが、構造は基本的に同じで
2つの電極に半導体セラミックス(主に酸化亜鉛)が挟まれている形となっています。
酸化亜鉛は電圧によって抵抗値が変化する性質を持ち、そのままバリスタの特性となっています。
両電極間の電位差(電圧)が低い場合(通常時)には抵抗値が高く、
一定の閾値を超える電位差となった場合(異常時)には抵抗値が下がり、
電流を大きく流すことで高電圧を抑制します。
抵抗の変わらない通常の抵抗器は電圧と電流に比例し↓青線のようにグラフだと直線になりますが
バリスタの抵抗値や流れる電流値は赤線のように、非直線となります。
高電圧と見なされ、バリスタの抵抗値が下がり始める時点の電圧値をバリスタ電圧といい、
回路毎に最適なバリスタ電圧を持ったバリスタの選定が必要です。
通常時は抵抗値が高く、バリスタに電流(緑色矢印)が流れませんが
サージ電圧が発生した際には、大きい電流を流す誘導路となりグランドへ逃がします。
後続の電気器具には通常と変わりない電気が送られます。
バリスタ電圧は、動作しない電圧の最大値=最大許容回路電圧が繰り返し印加される事で徐々に低下し、
初期値より10%ほど低下した時点が寿命とされます。
選定には、バリスタ電圧のみではなく回路電圧も考慮したうえで判断するのがベストです。
弊社では、安全性と直結するサージ対策にも重きを置き、
厳しい要求にも応えられる電源設計を心掛けています。