温度ヒューズの選定方法
今回はトランスに使う安全部品である温度ヒューズについてお話しします。
一般的な電流ヒューズは電流を検知しますが、温度ヒューズは名前の通り温度を検知して
保護機能を働かせます。
温度ヒューズ外観写真 (内橋エステック製) |
|
215:品番(タイプ名) 7A125V~:電気定格 <PS>E:電気用品安全法適合表示 |
温度ヒューズはトランスやモーターなどのコイルの表面に、フィルム等で絶縁して接触させます。
回路の短絡(ショート)やモーターのロックなどが生じると過電流が流れます。
温度ヒューズはこの過電流による発熱を感知して保護します。
温度ヒューズの感熱部分はリード線です。
この部分をチューブなどで絶縁してトランスのコイルに密着するように取り付けます。
トランスはインピーダンスを持っていますので、正常動作の時の電流値と異常時(短絡)の
電流値の差が小さく電流ヒューズで保護をするのは難しいです。
しかしながら温度は定常時と異常時で大きく異なるので、温度ヒューズでの保護が有効になります。
温度ヒューズの動作温度の選定について、トランスの絶縁種よりも高く部材の限界温度よりも
低い間で選定する必要があります。
例えばトランスの絶縁種がE種でウレタン線(UEW)で巻線をしている場合
E種の絶縁温度である115℃よりも高く、ウレタン線の軟化温度(一般に200℃前後)よりも
低い温度のヒューズを選定する必要があります。
小型のトランスではインピーダンスがかなり高いために、短絡状態であっても電流が小さく、
異常状態でのトランスの上昇温度がヒューズの動作温度に到達しないことがあります。
このような場合には別の手段で保護をするか、発熱したトランスに接触する部材の耐熱温度を上げるか、
接触しないような筐体構造にするなどの対策を行う必要があります。