トランスの結合とは?
結合という言葉を手元の辞書で調べてみると「結びついて一つになること」と
解説されています。トランスに関してはまさにぴったりの言葉です。
超初心者向けVol2でも「磁気で結合してエネルギーの伝達を行う」と説明しました。
実際には一次コイルで発生した磁力がコア(鉄芯)を通らずに周囲に拡散したり、
途中で消失することもあって、全て2次コイルに到達するわけではありません。
結合とは、発生した磁力がどれぐらい2次コイルに伝達できるかということです。
たくさん伝達できるものを結合が良い、反対に少ないものを結合が悪いと言います。
上のイラストでは、2つのコイルを並列に並べてコアを挿入して結合させています。
これとは別に下図のように、2つのコイルを内側と外側で組み合わせてコアを
挿入する構造もあります。というよりも、内外で組み合わせることのほうが多いです。
内外で組み合わせるほうが、トランスの結合が良くなり効率よくエネルギーを
伝達できるからです。特に小型で大きな電力を送るスイッチングレギュレーターに
使うトランスはこのような構造にします。
但し、スイッチングレギュレーターで結合の良いトランスを使う時に注意しなければ
いけないことがあります。スイッチングレギュレーターはノイズを発生させるのですが
結合の良いトランスはこのノイズも出力側に伝達してしまいます。
トランスは絶縁物(ボビンもしくはテープ)を2つの導体(1次、2次コイル)で挟んだ
構造になっています。これはコンデンサと同じ構造なのでトランスの1次コイルと2次
コイルの間にコンデンサと同じ働きをするものが寄生してしまいます。
これを巻線間容量と呼びます。ノイズ成分はここを通って2次側に伝達されます。
結合の良いトランスは巻線間容量が大きくなってノイズを伝えやすくなります。
スイッチングレギュレーターを設計するときは、エネルギーの伝達効率とノイズ成分
カットのバランスの良いトランスを選定することが重要です。試作を繰り返して
ベストのトランスを探すという作業になります。
加美電子ではスイッチングトランスの試作も迅速に行います。
是非お問い合わせください。