電源トランスのレギュレーションとは?
レギュレーションという言葉を聞くと、「規則」とか「調整」といった
印象をもたれると思います。電気の世界、特にトランスでは「電圧変動率」を
意味します。電圧変動率とは何なのでしょうか?
何度も登場しているトランスの図です。
トランスはコイルの巻き数比に応じた電圧が出力されるのですが、これは理想状態の
ことで、実際には巻き数比通りの電圧にはなっていません。
トランスを使う時は、出力された電圧で必要な電気を流します。
トランスのコイルは電気を流しやすい銅線で作られますが、それでもわずかに抵抗成分を
持っています。この抵抗成分に電気が流れると電圧が発生します。この電圧が邪魔をして
トランスの出力電圧を低下させてしまいます。図で書くと下図のようになります。
出力電圧が低下する分について、2次コイルの巻き数を増やして必要な電圧になるように
調整をします。このために巻き数比と電圧が一致しなくなります。
ちなみに、電気を流さない無負荷時では巻き数比と電圧がほぼ一致します。
負荷電圧と無負荷電圧の差と、負荷電圧の比を百分率で表したものを電圧変動率
すなわちレギュレーションと呼びます。
トランスの出力電圧と出力電流の関係をグラフにすると下図のようになります。
出力電流が増加するにつれて、出力電圧が低下します。変動率の小さいトランスは
グラフの傾きが平坦に近づきます。変動率の大きさはトランスの性能を示す指標で
一般的に小さいほうが性能が良いとされます。
コイルの抵抗成分で低下してしまう電圧を、巻き数を増やすことによって意図した
電圧になるように調整します。しかしながら巻き数を増やすことで抵抗成分も増加
してしまい、残念ながら意図した電圧にならないことがあります。
このような時はトランスのサイズを大きくする必要があります。大きなトランスでは
太い銅線でコイルがつくれますし、鉄心のサイズが大きいと少ない巻き数で必要な
電圧を取り出すことが出来ます。
大きいトランスでは抵抗成分が少なくなるので、変動率の小さいトランスになります。