何故ユニバーサル入力が可能になる?
日本ではコンセントにAC100Vが分配されていますが、
弊社の工場があるマレーシアではAC240Vが分配されています。
出張でマレーシア工場に行く時、ノートPCを持参して使用する時は、
ACアダプタの先端に変換プラグを差し込んで使用しています。
ACアダプタに供給される電圧が2倍以上も違うのに、なぜ壊れずに使えるのでしょうか?
ちなみに、AC100VからAC240Vまで世界各国で使える仕様をユニバーサル入力といいます。
超初心者編Vol.3でお伝えした通り、トランスは1次と2次の巻き数比に応じて電圧を変化させます。
この時に入力電圧が変動すると同じように出力電圧も変動します。
このトランスの入力電圧を200Vにすると、出力電圧は20Vになります。
これでは電気製品を適切に動かすことが出来ません。
入力電圧が変化しても、出力電圧は常に10Vで安定していれば非常に使いやすい
電源ということになります。どうすれば実現できるのでしょうか?
それは「スイッチングレギュレータ」を使うことで解決できます。
スイッチングレギュレータとは文字通りスイッチを使って入力電圧をON/OFFして
エネルギーを断続的に2次側に送り込む方式です。
このスイッチをON/OFFするという動作が鍵になります。
入力電圧に合わせてスイッチのON時間を変化させることで同じ量のエネルギーを送り込むように制御します。
スイッチングレギュレータでは、設定した出力電圧よりも高い電圧が取り出せるように
トランスを設計します。出力電圧10Vの電源を作りたい時の例で説明します。
入力電圧が100Vの時に12.5V出力されるトランスを設計します。
このトランスに送るエネルギーはスイッチを使って80%をON、20%をOFFにして
平均化すると出力電圧は10Vになります。(12.5x0.8=10)
200V入力の時、出力は25Vになるので、スイッチで40%をON、60%をOFFにして
平均化すれば出力電圧は10Vになります。(25x0.4=10)
このようにして、入力電圧に応じてエネルギーの伝達時間を変えることで
出力電圧を一定に保つことが出来ます。