前回は電源の役割について説明させていただきました。電源には
・電気製品を動かすのに必要な電力を取り出す
・電力源の膨大なエネルギーから電気製品を守る
という二つの働きがあるとお伝えしました。
この働きというのは、相反することを同時に行うという結構難しいことをしないといけません。
これを可能にするのが「トランス」という部品です。
トランスは2つのコイルと、鉄心(コアとも呼ばれる磁性材)で構成されます。
電力源に接続する側を1次コイル、機器に接続する側を2次コイルといいます。
コイルは導体(銅線)をバネ状に巻いたものです。
トランスの動作原理を図で説明しますと
1次コイルに電気が流れるとコイルの働きで磁力が発生します。発生した磁力は鉄心を
介して2次コイルに到達します。コイルは外部から磁力を受けると、コイルの両端に
電圧が発生して電気を流します。この作用を電磁誘導といいます。
1次側の電気のループと2次側のループは巻枠(ボビン)で完全に分離されています。
この構造を複巻もしくは絶縁型といいます。
電気的に絶縁されつつ、磁気で結合してエネルギーの伝達を行っています。
これがトランスの働きです。この働きのおかげで電源の重要な役割である
電力を取り出す(エネルギーの伝達)働きと電力源からの保護(絶縁)を同時に
行っています。電源には不可欠な部品なのです。
トランスにはもう一つ「変圧」という働きがあります。
変圧については次回で説明いたします。