元号が「平成」から「令和」に変わりました。日本の元号は「平成」まで中国の古典から元号を選定していましたが、今回は初めて日本の古典から選定されたそうです。「令和」の由来は奈良時代の歌集、万葉集が出典とのことです。
元号の世界では古典から命名されていますが、半導体の世界ではどうでしょうか?
スイッチングアダプタはトランジスタ、FET、ダイオード等の数多くの半導体を使用しています。
図1 左からダイオード、トランジスタ、FETの写真 |
半導体には定格電圧、定格電流など多くの特徴があり、他の物と区別するために型番(型名)があります。型番はそれを開発した各メーカで命名されますが、どのような意味を込められて型番を命名されているのでしょうか。
日本のメーカの場合、JEITA(電子情報技術産業協会)またはメーカ独自の方法で命名しています。FETを例に見ていきましょう。
何年か前まで日本のメーカでは、もっともポピュラーな命名方法でした。
型番はメーカに関係なく「2SJ****」「2SK****」といった共通の方法で型番がつけられます。
1型番に付き1社が割り当てられ、例えばA社が新しいFETを開発して「2SK1234」と命名されると「2SK1234」の型番はA社にしかありません。
4桁の数字はJEITAへの登録順なので数字に意味はなく、数字が大きいほど新しく、逆に数字が小さいほど古いFETということになります。
型番の構成は以下の様になります。
第1項 | FETの種類によって下記の2種類に分類されます。 2SJ・・・Pチャネル 2SK・・・Nチャネル |
第2項 | 4桁までの整数でJEITAに登録された順番がそのままつけられる。 |
第3項 | 改良や変更された時に履歴を表します。 |
第4項 | 特定用途を示す記号が入る場合があります。 |
半導体メーカが独自のルールで命名した型番で最近では主流の命名方法です。
例えば東芝製のFETの場合、「TK8A50D」(8A 500V Nチャネル)、富士電機製のFETの場合、「FMV08N50E」(7.5A 500V Nチャネル)などがそうです。
JEITAの命名法の場合、型番からFETであることとNチャネルかPチャネルまでしかわかりません。しかし、メーカ独自の命名法は部品の使用者が型番から定格電流、定格電圧、チャネルを想像し易くなっています。部品を選定する目安となることもあり、こちらの命名方法が主流になってきたのではないかと思われます。
アメリカにもJEITAに似た方法で型番を命名する、JEDEC(半導体技術協会)というものがあります。「1N****」はJEDECの方法で命名されたダイオードの型番です。しかし、JEITAと大きく違う点があります。JEITAの場合は1型番に付き1社が基本ですが、同じ仕様のダイオードは2社以上が同じ型番で命名しています。その理由はオリジナルが生産中止になっても、そのダイオードを使用しているメーカに支障をきたさない為だそうです。
最後に当社のACアダプタは「SA-##&&&RF」と命名されます。
##は出力電力で&&&は連番でRFはROHS対応になります。
例えば「SA-12345RF」の場合、12は出力12Wを意味し、345は345番目の出力12Wのアダプタが誕生したことを意味します。