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今さら聞けないトランスの基本Vol.11 プレミアム材料編

2019年03月20日
技術ネタ

今回は基本から少し離れて、標準では無い特別な材料を御紹介いたします。

 

特別な材料①、広温度帯域対応低損失フェライトコア材

 

いきなりの長い名称で難しい内容と思われるかもしれませんが、なるべく簡単に説明しますのでお付き合い下さい。

 

要約すると広い温度範囲で使用した場合に、トータルの損失(ロス)が少ない特性のコア材となります。
フェライトコアの過去ログはコチラ。

 

まずは標準材のコアロスカーブから御説明いたします。
縦軸が損失(コアロス)、横軸がコア温度です。

 

 

tech201904_01

 

 

御存知の方もいらっしゃるかと思いますがフェライトコアには温度依存性が有り、
一般的な標準材では100℃付近でコアロスが最小となり、最大の性能を発揮します。
逆に室温付近では最小値の約2倍のロスが有ります。

 

 

これはスイッチングトランスの一般的な最大使用温度がE種(巻線温度115℃)で有ることと相性が良く、
限界性能(最高周囲温度×最大負荷)の1点のみを高めるためには好都合です。

 

 

続いて広温度帯域対応低損失材(以下、広温度対応材)のコアロスカーブは下記の図のようになります。

 

 

tech201904_02

 

 

標準材と比べると温度依存性がほとんど無く、コアロスカーブがフラットです。
コアメーカさんとの会話では『フラット材』と言ったりもします。
最大の特徴は、実際の使用温度環境におけるコアロスが低いことです。
コアメーカさんの資料では、1年間を通したトランス損失が35%低減できるケースも有るようです。

 

 

そこで標準材と広温度対応材のコアロスカーブのグラフを重ねてみます。

 

 

tech201904_03

 

 

広温度対応材は、全ての領域でコアロスが低くなっており、
なおかつ想定される実使用温度である室温~80℃の領域で特に差が大きいです。
広温度対応材はすばらしい材料なので、もっと普及してもおかしくないのですが、
材料コストが高いのがデメリットです。

 

弊社では、蓄電システムやバッテリー充放電関連のお問い合わせが近年多くなり、
その場合は積極的に広温度対応のコア材を提案しております。
コアに広温度対応材を使用し電力変換効率が改善すれば、同じ性能でバッテリーが小さくでき、
同じバッテリーサイズで長時間放電することが可能となり、
そのメリットはトランスの単価上昇をはるかに上回るものと考えております。

 

 

特別な材料②、USTC線

 

今さら聞けないトランスの基本Vol.8でも少しご紹介しましたが、
USTC線(中身は極細リッツ線)は、上記で御紹介しました広温度対応のコア材と相性抜群です。
USTC線は表皮効果対策として、周波数の高いトランスに使用されます。
また、(磁束の変化に比例する)漏れ磁束による銅線の発熱低減にも高い効果を発揮します。

 

広温度対応のコア材は、コアロスの影響が大きい(周波数が高く、磁束の変化が大きい)設計で最大限に効果を発揮し、それはUSTC線と共通です。
USTC線も材料コストは高いですが、それを上回るメリットがあります。

 

 

 

弊社ではお客様のニーズに合わせた設計対応力を売りとしています。
安さだけが全てではない、プレミアムなトランスを試してみませんか?
絶対性能を重視した新規設計の際には、是非とも弊社にお問い合わせ下さい!

 

 

 

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