マガジン

今さら聞けないスイッチング電源の基本Vol.5 セラコンを探すときの落とし穴

2018年12月19日
技術ネタ

チップセラミックコンデンサの代替品を探す時の落とし穴(直流バイアス特性)

 

 

最近、電子部品の調達には大変苦慮をされている事と思います。

特にチップセラミックコンデンサは入手難が深刻化しており、対策のため国内メーカー製から

海外メーカー製への切り替えを検討されているユーザー様も多いのではないでしょうか。

 

今回は、そんなセカンドソース(代替部品)調査の際に注意しておきたい事に於いて

チップセラミックコンデンサの注意点をご紹介させて頂きます。

皆様がセカンドソースを開拓される際に少しでも助力になれば幸いでございます。

 

 

チップセラミックコンデンサとは

チップセラミックコンデンサは英語で multi-layer ceramic capacitorといい、直訳すると多層のセラミックコンデンサという意味になります。(以下からは、チップセラミックコンデンサをMLCCと省略します)

 

tech201901_01

 

MLCCは誘電体にセラミックを用いたコンデンサで、大きくは温度補償用と高誘電率系に分けられます。

誘電体の材質によって使用温度範囲や温度による容量変化率が違ってきます。

 

 

 

 

MLCCを選ぶ際に注意したい「直流バイアス特性」

直流バイアス特性とは、コンデンサに直流電圧を印加した時に実効的な静電容量が変化(減少)してしまう現象です。

 

温度補償用MLCC(C0G・NP0特性のMLCCなど)ではほとんど発生しないとされておりますが、

高誘電率系MLCC(X5R・Y5V特性など)ではこの特性の影響が無視できないため注意が必要です。

 

どういう事が起こるかというと…

 

例) 1000pF 25V のMLCCをDC20Vの回路に使用したとします。

 

①C0G特性のMLCCの場合

静電容量の減少はほとんど発生しないため20Vで使用しても実効静電容量は1000pFのままです。

②X5R特性のMLCC

静電容量が60%減少し、20Vで使用した時の実効静電容量は400pFとなってしまいます。

(※この事例は一例ですので、個々の詳細はメーカ様へご確認をお願いします)

 

tech201901_02

 

 

定格電圧・静電容量が同じだからと言ってC0Gの代わりに高誘電率系を採用すると

思わぬ不良を引き起こす原因になる可能性が…

この様に、定格(電圧・静電容量) が同じでも特性により代替に適しない落とし穴が

MLCCには存在します。

 

 

 

弊社ではMLCCに限らず使用電子部品の生産中止・入手困難により代替品を御提案させて頂く際は、

必ず代替品での動作確認・製品単体評価を実施し、置き換え可能かを判断した上で

お客様にご提案する対応を心掛けています。

 

 

 

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